「見ろよ狩野、あれ。」
その、どこか見覚えのある姿を見つけた僕は
思わず彼を連れて駆け出していた。
「あれだよ、マツリじゃないのか?」
「エッ!?本当?」
指した先、駐車場のコンクリートの上で寝そべる猫の姿。
「マツリ!!!」
勢いよく駆け寄った僕らに、驚いたのは猫のほうで。
一瞬で飛び起きると、ものすごい速さで逃げていってしまった。
「逃げられたな。」
「・・・違った。」
「え?」
「違ったんだ・・いまのはマツリじゃない。」
いつもの帰りみち。
家出したまま、一向に帰ってこない自分の猫を想う彼。
すこし、寂しそうに笑って“平気だよ”と今日も云う。
『 いつか帰ってくるんだって
わかっているから 平気だよ。 』
彼の猫は、いま何処に居るのだろう?
猫 3.5