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  リリリリリリリリリリリリリリリ・・・・・・・・





         カチッ。






きょうは曇りか、なんだ。





春といっても温かいのは日が差す時間だけだ。

朝夕、そして今日のような曇りの天気では

まだ、寒い。






僕は制服に着替えてリビングに降りて行った。

いつものことだが、今朝も特になにも用意されてはおらず

いつものように、僕は適当に朝食を済ませ、家を出た。




なんだか今朝はすっきりしない。


おかしいな。

夜更かししたわけじゃないし、だるいのはいつものことだ。




そういえば、何かひっかかっている。


「変な夢、見た気がするなぁ・・・」








すこし歩くと、狩野の家が見えてきた。

僕らは、わりと近所に住んでいる。



約束をした覚えはない。

しかし、いつのころからか 僕が家の前を通るころを見計らって彼も出てくる。

大体いつも遅刻をしない僕は、通る時間も決まっているのだ。

たまに狩野は寝坊をするので、

5分待っても出てこないときは先に行くことにしている。 

家に立ち寄って、呼び鈴を鳴らすようなことはしない。

思えば変な具合に、しかし都合がいいこの週間は、1年ちかく続いていた。



僕が通るころちょうどに、狩野は家から出てきた。




「おはよう。」

「おはよう、寒いね今日。」




狩野の家から学校まで、歩いて15分ぐらいの距離である。

いつも何かしらの話題で話をしていれば、すぐだ。

最近は、めっきり猫の話ばかり。


「マツリ、昨日も帰ってこなかったんだ。」

「だろうな」

「え、わかるの」

「帰って来てたら真っ先に言うだろ、お前。」


そうなんだ、と苦笑いする狩野。

今朝も、テンションは低い。



「あ、そうだ。気が付いたんだけどさ」

僕は昨日、寝る前に気付いた事実を狩野に話した。

つまり、猫はいまの季節は忙しいんじゃないかってこと。



「それは知ってるよ!でも、居なくなったのはマツリだけなんだよ」

「それはそうだけどさ、理由としてはあり得るだろう。」

「いまごろ、大恋愛してるってこと」

「かも。」

「でも、2週間だ」


狩野はあまり納得のいかない様子だ。






「きょうの帰りも、探すの手伝ってくれよ」


そして、状況は結局変わらないのだった。










「絶対見つからないよ、昨日だってそうだっただろ」





放課後、昨日とまったく同じ帰りみちを

同じ様にキョロキョロと見渡しながら歩く。

今朝、狩野に事実を話した僕は、

わりともう(どうでもいいや)という気になっていた。


「どうして居ないんだろう」



とうとう今日も見つからなかったと、がっくり肩を落とす狩野だが

彼自身、成すすべがないことは知っているようだ。

昨日は“証明する!”とはりきっていた彼なのだが、

今日はそのことについてはまだ話していない。

彼の姉がいう、“二股疑惑”についてである。






結局、うなだれたまま家に帰っていった。



「家に帰ったら、意外と居るかもしれないぜ」


「だといいよね・・・・じゃあまた明日。」









狩野の落ち方は尋常じゃない。

本当に猫バカだな、アイツ。



みちには学校から帰る学生や、買い物帰りの主婦などがちらほら見える。



いちにち曇っていた今日の空は、夕方になっても重たかった。

一面、白と灰色に覆われて 圧迫感、 だろうか。

狭い、押し迫る感覚が嫌いだ。

そのうえ、夕方になってさらに冷えてきた。




はやく帰ろう、そう思って足を速めた。

その時だった。






「・・・マツリ?」





前方に見た事がある猫の姿。

僕が見ていることを瞬間的に感じて、ふっと振り返る。





やっぱり、マツリだ。





どうしよう、狩野に戻って教えようか。

でも多分、すぐにまたどこかに行ってしまうだろう。

とりあえず、電話・・





そう思って、制服のポケットから携帯電話を取り出そうとした時


マツリはサッと走り出した。








僕は同時に走り出し、自動的にマツリを追った。